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【ネタバレあり】『十角館の殺人』を読んだ。

最近、面白い文章を探しています。面白い文章といえば小説かなあ、小説で読みやすいと言えばミステリーかなぁ。ということで、ググってみたところミステリーランキングで常に上位がこの『十角館の殺人』でした。1987年ぐらいの作品なのに、そんな未だに面白いって言われることあるんや!?みたいな衝撃。ということで、読んでみました。

 
ネタバレをします。
 
面白かったです。本土でドタバタしてる2人が何か可愛くて読み進められました。キャラクターが良いですね。島が血生臭いことになって、緊迫感で読み進めるには重いなぁと思ってる中に、本土の2人の「殺されない安心感」が感情移入しやすくて、読みやすかったです。そして、まんまと乗せられた。
 
「うまいなぁ」と思ったのは、例の衝撃の1行って安心しきってた本土側で出てきたことです。1回読んだだけでも構成の巧みさが分かりました。島と本土を行ったり来たりすることに何の意味があるのだろうと思いましたが、視点が変わることによりリズムが生まれ、犯人が分かるまで勢いにのって読むことができました。
犯人の6人も殺す動機が微妙だなぁとは後々思いました、正直。ただ、答え合わせ部分に入ってのことなので、そこに感情移入はあんまりしなくてもいい作りだった。衝撃の1行の「面白い」を味わった後なので、「面白い」の価値がそこまで減ることはありませんでした。
 
時代が30年以上経っているので、「台所仕事は全部女がやるのが当たり前」が古く感じました。正直不気味でした。疑うぐらいなら自分で用意すればいいのに、それをしないぐらい「男の人は台所に立たないこと」普通だったってことでしょう。自分の命が関わっているのに、それでも動かない男性陣の感覚が当時は普通だったのかと思うと、とても不気味でした。自分の命を守ることより大切な役割なんてあります?台所仕事をする女性側だって、やりたくてやっている訳ではないことは描かれていますし。今だったら何も言わなくても手伝ってくれる男性いるでしょうしね。時代だわ。
小説のミステリーって面白いですね。「館」シリーズ、他のも読んでみようかなと思いました。『時計館の殺人』が評判よさそうなので、読んでみようかな。